徒然草

つれづれにさまざま書いています。

博士の愛した数式・・を見て。

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先日トーホーシネマズで「博士の愛した数式」を見てきました。
阿弥陀堂だより」「半落ち」などで好演をしている 寺尾 聰さん
今回も彼の演技がとっても良かったと思います。

事故により記憶がたったの80分しか持たない元天才数学者の博士
その家に家政婦として働く事になった深津 絵里さん扮するお母さんと
その息子ルート・・・√記号のような平らな頭を持っているので
「とても賢い・・ルート記号はなんでも誰でもその中に入れるんだ」と
博士が心を開いた少年

ゆったりと千曲川が流れ 春のさくら あんずの満開の花
夏の広大な信州の遠景 滝の音・・・・
とてもきれいで 静かで 。そんな風景とともに物語が展開していきます。

博士は自分の記憶がたったの80分しか持たない事で心に傷を負っています
しかし天才数学者だった彼のコミュニケーションとしてあみ出したのが
無間にある数式です。
家政婦とルートと博士とそして やっぱり心に深い傷を持った
未亡人との暖かく切なく そして「至高の愛」が画面いっぱいに展開されます・・

たったの80分の記憶
それがどんなに辛く悲しく腹立たしいものであるか・・私には分かりません。
私の母がある時を堺に 認知症が進み 今では たったいま言った事も記憶に無い状態です。
昔の母がまだ若かった時の事は克明に覚えています。
でも 編物用に毛糸を持っていっても
「あら…これはあなたが持ってきてくれたの?」と たったの2時間会っているうちに
数十回聞きます・・・・
母は「頭が変なの」とよく言います。「物忘れが激しくて悲しい…」とも言います。
私が考えている異常に 母は自分の身体の変調を大変悲しがっているんだ・・と
会いにいく度に思います。

こうした記憶がなくなってしまう病気には 「さっき言いました」「何回聞くの?」
といったような言葉は絶対禁句!です。
本人が混乱してしまうそうです。
映画の中でも家政婦とルートが 同じ事を聞く博士に対して
「ちゃんと話をしよう…」と話し合う場面があります
母の事と重ね合わせて 考えさせられました。

小川洋子さんの小説を先に読んでおきましたが 本と同じイメージで
きれいな風景 千曲川のゆったりした流れ 桜や杏の花 静けさ・・・
そして「至高」・・・・
いつの間にか涙があふれました。
とてもいい映画でした。 またもう一度見たい・・と思います。