徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「しまなみ幻想」・内田康夫 著

「しまなみ幻想」

   内田康夫 著    光文社

    2002年11月25日  第一刷発行
    

 

テレビの人気番組、「全国お宝捜査隊」が「瀬戸内しまなみ海道開通記念」として
テレビ収録されたのは、1999年5月だった。
土器や絵画、書など、いいものには鑑定人がそれぞれの分野で鑑定し、売買交渉も行われた。
瀬戸内しまなみ海道」も5月の開通以来利用者量も増えていった。

 

村上咲枝は中学三年生、今治から東京までピアノのレッスンに通っている。
そこで偶然にも浅見光彦と出会ったのである。
咲枝は心の中に母の自殺死を抱えていた。しかし彼女は母は自殺ではなく「殺されたのだ」との信念を持っていた。

咲枝の母が亡くなる直前に一人の女性が来島海峡大橋を 歩いて渡っている母を目撃していた。
手に何かを持っていた・・と証言している。
咲枝の母は金策に駆け回っていた、だから自殺と断定されたのだった・・


その後のことである。
その、来島海峡大橋で咲枝の母を目撃したという女性が、鹿森ダム付近で車ごと転落事故死をしたのである。
到底行くはずのない場所である。警察では事故死とされた。
浅見光彦はそのすぐ後、山陽新幹線新尾道で降り、レンタカーを借りてしまなみ海道を渡った・・

咲枝の母「村上美和」の自殺直前の来島海峡大橋での目撃情報、
そしてそこで投身自殺を図った美和がとんでもない場所 遠く離れた場所で発見されたこと等々、浅見にとって意外なことが分かって来るのである。
さらに、咲枝の母、美和は狩野探幽」の軸を持っていたことが明らかになってきた・・

 

いくつもの島々を結ぶ「しまなみ海道」。美しい海と、小さな島を巡る海道に
悲しい事件が隠されているのを 浅見が丁寧に見つけていく。
果たして、咲枝の母はなぜ死なねばならなかったのか、咲枝の純粋な心、母を亡くした悲しい心を浅見は救うことができるだろうか・・

瀬戸内のきれいな風景と島を巡る旅情ミステリーの傑作です。

 

 

 

    

思い立って本棚に眠っている内田康夫氏のしまなみ海道を読み返してみました。
内田氏の作品の多くには、ルポライターである浅見光彦氏」が登場します。
彼は、名家のお坊ちゃまの次男坊、兄は警察庁刑事局である。
いつも厳しい母に「兄を困らせることは許しません」などと言われている。

もうずいぶん前になりますが、テレビで「水谷豊氏」が演じた「浅見光彦シリーズ」。
この後、光彦役が変わりながらも 放映されている長寿ドラマですね。
もちろん、浅見光彦は架空の人物でありますが、本によっては原作者の内田康夫」が実名で登場しまた浅見の家も この辺り・・と紹介もされていますので、あたかも実際にいる人物・・と、勘違いさえ起こさせます。


東京西ヶ原、あの団子で知られる「平塚亭」そして平塚神社のすぐ近く・・だそうで。
一ファンとして あのあたり、飛鳥山や平塚神社 平塚亭など、見に行ったこともあります(笑)

中学生のまっすぐなきれいな瞳の奥の、母の死という悲しい事実に、浅見光彦がその新事実に挑んだ作品。
美しいしまなみ海道に一度は行きたい・・と思いながら今に至ってしまった私、空想の中の街道は、とても素晴らしいのです・・・

 

 

 

☆彡 2014年 浅見光彦さんが住んでいる界隈を訪ねました。

東京の飛鳥山の近く、奥のほうは住宅地のようでした。彼がいつも母のためにお団子を買う平塚亭や平塚神社、飛鳥山など散策しました、懐かしいです。小説内でたびたび出てくる「滝野川警察署」も。

ご参考までに・・

minorinnminorinn.hatenablog.com