徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「KAGEROU」

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KAGEROU   
 

齋藤 智裕 
第五回ポプラ社小説大賞受賞作
 
 
 
 
 
 
 
哀切かつ峻烈な「命」の物語
 
何十万という人間がひしめき合って暮らすこの大都会で 今、まさに命の炎を
尽きさせよう・・・と思っている主人公、ヤスオ
廃墟と化した古いデパートの屋上の遊園地にヤスオはいた。
使われなくなった遊園地はまさに墓標とも見えた。

死ぬ・・
ヤスオは何もかもに絶望し、この屋上にやってきた。
「今夜、12時までに死ぬ」
そのタイムリミットが刻々と近づく。
目の前の高さ、4メートルの金網さえ超えれば・・・・
ヤスオは決心して金網を登っていく。
腹ペコで、疲れ切っていたヤスオには 4メートルの金網は途方もなく頑丈で容易ではない・・
「登れば何もかも終わる・・」
40歳・・もうすぐ41歳になろうとする彼は今、命の炎が燃え尽きようとしていた・・
 
と!!
その時!
飛び降りようとしたヤスオの足首をつかんだ者がいた。
「私、全日本ドナー・レシピエント協会、「全ド協」の京谷(きょうや)と申します」
 
その時から、ヤスオと京谷の奇妙な関係が生まれたのだった。
命の十字路で出会った二人。
ヤスオの命は「かげろう」のように閉じようとしている。
そのヤスオの前に現れた「キョウヤ」とは、いったい何者で、何が目的なのか。
命とは・・
生きるという事は・・
そして、いま、叫ばれている、「ドナー」とは・・
 




一気に読み終えてしまいました。
本の字数もそんなに多いようには思えません。
なぜ、ヤスオは40歳で自殺しようとしたのか・・
克明に描かれています。

さらに、「生きたい!」と願う多くの人間にとって、臓器は何より必要なもの。
そのドナーが見つからなければ、命は失われてしまう。
そして・・
そのドナーを自殺志願者から探す…という、途方もない筋書き。

「この先、どうなるのか?」と次々興味がわき、一晩で読み終えました。
 
最近、非常に話題になった本です。
テレビのコメンテーターの方々も褒める方もいれば、酷評される方もいます。
「命」と「ドナー」
私はこの本を読み終えて、考えさせられました。
「ドナーを探す、全ド協」なるものが、この先出現する…かもしれない・・
空恐ろしさを感じました。
 
 
 
そんな中、ヤスオは、「はかない命」と出会います。
茜・・かわいい少女です。
彼女に抱く「愛することの切なさ」・・・・
ヤスオはどうなっていくのでしょうか・・・
 
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