徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「風神の手」・・

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「風神の手」   

   道尾秀介  著  
      2021年01月30日第一刷発行 朝日新聞社


第一章  心中花
第二章  口笛鳥
第三章  無常風
エピローグ  待宵月

 

「心中花」・・

舞台は 上下(しもあげ)町と、西取川をはさんだ上上(かみあげ)町。
そこにある「鏡影館(きょうえいかん)である。
この鏡影館は、遺影専門の写真館だ。

歩美は母・奈津実のの遺影を撮ってもらうために母と共に、この鏡影館に訪れた。
待っている間、たくさんの写真が並んでいる、その写真を母が眺めていた。
と、唐突に母は、一枚の写真を取り上げ、息を飲んだのが、歩美にもわかった。

母の見ている写真の主が、「サキムラさん」だと分かって、遺影を撮る気にもならず、母と歩美はその日は鏡影館を後にした。
母の急変は、遺影と思われるその写真の「サキムラさん」にある・・と、歩美は思ったが母に聞けずに帰宅した。


奈津実は15歳、27年前、崎村を始めて見た。
西取川で行われる火振り漁の夜である。
火振り漁は観光客が来るほど、有名だった。


崎村と会っていた奈津美は、そんな中、ある事故に遭遇する。
そして事故が事件に発展していった・・
奈津美の父の会社が起こした事件であった・・


「口笛鳥」・・

小柄で背の低い「まめ」と、大柄で転校生の「でっかち」の物語。
二人の小学生の主人公が、一台のカメラを巡っての事態・・・


「無常風」・・

死期を悟っているある老女が鏡影館を訪ねてくる。
その老女の若い時の日々の回想・・・


この物語の根底にあるのは・・「嘘」である・・・

 

 

 

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ちょっと、難しいかな・・と思えました。
それは、時系列です。
1章から最後のエピローグまで、時系列が違い、その都度の主人公がいます。
ちょっと、出て来た人々を書き留めておくと、スムーズにわかるかな・・的な。(笑)
あくまでも私の考えですけど。

ある1つの事が、事故だったと思われ、やがて事件につながり、更に嘘が真実と思われ、またさらに「偶然」が生み出される・・

もう一度じっくりと読み返せば、内容がより分かりやすくなるのだろうと、思いました。


遺影専門の写真館・・こういった写真館が実際にあるものなのでしょうか。
そうなら撮っておきたいと思うような気もします。
遺影専門という、それがちゃんと町の人々に知れ渡っているからこそ生まれたお話だと、感じます。

 

 

 

 

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