徒然草

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「北軽井沢に消えた女」・西村京太郎

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「北軽井沢に消えた女」

       西村京太郎

令和2年3月30日 初版第1刷発行
祥伝社文庫 発行

 

群馬県嬬恋村役場に新人二人が入った。竹田清志・三木あずさの二人である。
嬬恋村の生まれの二人、しかし、育ったのは東京であった。

嬬恋の名前は、その昔、ヤマトタケルノミコトがこの地を訪れた時、「わが妻よ・・」と、嘆いたとされた伝説からそうつけられたようであった。
嬬恋村の弱点と言えば、観光的にも恵まれた地域の割に、「嬬恋」という名前が全く聞こえないところであった。
その嬬恋村の印象が薄いのには、近くに軽井沢があるからだ。こちらはもっとも有名な場所であった。

軽井沢は長野県の軽井沢町の事、北軽井沢は、群馬県吾妻郡長野原。
どうしても、「軽井沢」という名前が定着していて、嬬恋村の名前が忘れられているのであった。

 

新鮮な目で郷里嬬恋村を見つめ直してもらいたい・・と、観光商業課の特別係に2人は任じられた。
二人は意気揚々と、嬬恋村のあれこれを調べることにした。
そして、事件に出くわした。
二人で出かけた、「日本一」と歌われている、キャベツ畑を見に行った。
さすがにすばらしいキャベツ畑の中に、あろうことか、人間が埋まっていたのである。キャベツの中に女の首から上が見えていて、胴体は土の中。しかも全裸。その首をあずさが、キャベツと間違えて触ってしまい、大騒ぎになった・・


二人は、その女の名前を「中野由美」と知った。
しかし、警視庁の十津川警部が東京・成城のマンションを訪ねると、何と、本物の「中野由美」が殺されていたのである。
事件は嬬恋村と東京とで起き、やがてとんでもない方向に進んでいった。東京の開発会社が、村の境い目あたりの嬬恋の土地を買いあさり始めたのである。死体が見つかったキャベツ畑の主人も、また、その周りも・・その会社が安く土地を買い占めているのである。


竹田とあずさは、このままでは完全に「嬬恋村」の名前は忘れ去られてしまう・・と考え、十津川警部と共に、事件のさ中に身を置くようになる。
また、土地を買いあさっている開発会社の裏にいる人物も、つきとめていくのである。そんな中、二人の乗った車が放火される、という、事件が起きてしまった・・!

 

 

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センセーショナルの事件で幕を開けた今回の作品です。
主人公となっているのは、今回は十津川や亀井ではなく、嬬恋村の危機をどうにかしよう!という若い二人である。
村役場を拠点に、二人は飛び回り、さまざまなことを知っていくのである。
嬬恋村の3分の1も買い占められ、名前は「北軽井沢」になり、嬬恋村の最大の危機である。

壮大な今回のテーマではあるが、私的には「若い二人が果たしてこれほどの事までやるだろうか?」という疑問。
その二人をある程度、野放しのように扱う「村の村長」も「ええ??」っと感じますねえ。(笑)
まあ、あくまで、西村先生の小説ですので、あしからず・・って気もします。

果たして、「嬬恋村」はどうなってしまうのか?
十津川警部は事件を解決できるのか?

       (あくまで、わたくしメの私感です)(#^.^#)

 

 

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