徒然草

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「ワイドビュー南紀殺人事件」(新装版)   

 

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ワイドビュー南紀殺人事件(新装版)   
             西村京太郎


中公公論新社 1996年8月18日  初版発行
       2019年7月25日  改版発行

 

警視庁捜査一課(十津川班)の三田村刑事は恋をした。
恋人は本橋久美。三田村は結婚まで考えている。
しかし、1つ問題がある。久美の父親は殺人罪で8年の刑を受けいま、府中刑務所に入っているのである。刑事の結婚となると、それは問題になり生涯になるはずである。
結婚を考えている三田村が久美に話したところ、久美は「もうこの話はやめましょう」ときっぱりと言った。
そして、「南紀に旅行に行きたい」とも。
三田村はもし、結婚できずともしばらくは付き合っていきたいとも考え、南紀行きを承諾する。


列車・南紀5号に乗ったとき、久美が待合室に残っている一人の男を指差した。
「残っているわ」と。この列車に乗らないとは?
そして勝浦の旅館に身を寄せた二人は、あの、待合室に残っていた男が殺されていたことをニュースで知った。
三田村は自分が刑事なので、三重県警に電話を入れた。すぐに刑事がやって来て、
二人にいろいろと聞きはじめた。その時になって、久美の観察力がずば抜けていることに気がつく。
やってきた刑事たちも舌を巻くほど、見た事、気になった人物の特徴や服装など等、
はっきりと告げたのである。

今は休暇中である。二人は次の日から休暇を楽しんだが、
途中、二人にカメラを向ける不不審な男を久美が見つけたりした。


十津川班が捜査に当たって、徐々に少し分かってきた。殺された土屋は三人で南紀に行っていた。
そのうちの一人が、三田村たちにカメラを向けた一人だった。
そして事件はまたも起きた。三人のうち一人は殺され、また一人。

 

久美の父親の事件に関係しているのではないか?
久美は独自にその事件関係者を尾行したりしていて、三田村をハラハラさせてもいた。
久美の父親・本橋はいまだ、罪を認めていないのだ。これは仕組まれた冤罪ではないか?
十津川はそう考える。

刑事たちの執念での捜査が大詰めに近づいた時である、思いもかけない人物が浮かび上がる・・

 

 

        

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若い三田村刑事が結婚を考えた女性は、殺人犯で服役中の父を持っていた。
三田村は、「刑事を止めてもいい・・」とまで考える。
そして、本橋は冤罪ではないか・・?の推理が浮かぶ。
果たして事件はどこに向かうのか?
三田村の恋は成就するのか・・・?

三田村の苦悩と、それを見守る十津川の視線が、そこここに描かれた名作です。

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