徒然草

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「宮島・伝説の愛と死」・・西村京太郎

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「宮島・伝説の愛と死」    西村京太郎

 

      中公文庫   2020年2月25日初版発行

 

 

〝私(一乗寺明)は母の死期が近いのを知った。小柄な体全体にガンが転移。
「長くて3か月。歩けるうちにお母さんの行きたいところに連れて行っては」
と医者は、悲しそうな顔もせずに、言った。
母に聞くと、しばらく考えていて、「宮島に行きたい。厳島神社」と言った。
そこに何かあるのか?と聞くと、
「あっちについたら教えてあげるわね」と。

そんな母が、楽しみにしていたであろう旅の支度を、自宅でしていた時、
無残にも、背中を刺されて殺されてしまった。
母は、苦労の連続で、私を育ててくれた。いま、これから・・と言う時に、
被害に合ってしまった・・

葬儀を済ませ、私は大学も、もう意味のないように思えた。
退学するかもしれない・・と、女友達の三浦亜樹に言うと、彼女は、
「お母さんを殺した犯人を見つけなさい」と、即座に言った。
いろいろと二人で考え、「お母さんが若い時、宮島で何かがあったんじゃないかな?
宮島に行って見ない?」という事になり、僕たちは、宮島に向けて出発した〟

 


新幹線「のぞみ」で出発。その車中で 母親の事件を担当している十津川刑事に会う。
「僕が疑われているんですか?」一乗寺明が聞くと、「第一発見者を疑えは、常識ですからね」と、彼が言った。

その後、厳島神社で夜間、観光船に乗っていた二人、明と亜樹が、大波で船から投げ出され、かろうじて船に戻れ、何事もなかった。しかし、この、偶発的な事故が、
20年以上前の忌まわしい過去の事件を思い出させ、その封印を解くことにつながっていった・・

 

余命3か月と診断された母を、なぜ、殺す必要があったのか?
一乗寺明とその友人の三浦亜樹が次第に事件の真相に迫り、さらに、十津川班が
忌まわしい過去の事件を手繰り寄せていく。
果たして、明の母が、何にかかわっていたのか?真相はなんだったのか?

 

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母一人子一人の一乗寺家を襲った悲しい事件。
十津川警部の手で真実に迫って行く過程が面白いです。
また、宮島や、厳島神社の風景も、脳裏に浮かんでくるような、そんな本です。

 

 

 

 

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