徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「舟を編む」・三浦しをん 著・・

 

舟を編む  三浦しおん  著

 

     光文社  2015年03月20日 初版第一刷
          2024年04月05日   第23刷

     2012年 本屋大賞第1位

 


辞書づくり、ときどき不器用な恋

 愛すべき(?)まじめな変人たちの のんびり奮闘記

 

馬締(まじめ)光也は27歳、「大渡海(だいとかい)」という
新しい辞書つくりに 荒木に請われて仕事を任されることになる。
彼の名前のようにまじめな人柄で、言葉への鋭いセンスを買われ
辞書編集部に引き抜かれたのだ。

その編集部には年配の松本先生をはじめ、辞書に携わる数人がいる。
辞書づくりは 根気がいる。それに辞書にはこの世の中のありとあらゆる「ことば」を載せる・・それもまた難解な事である。
数十年を辞書づくりに燃やしている松本先生を馬締は尊敬し
まっすぐにその「難解な仕事」に没頭していく・・

「なぜ新しい辞書の名前が『大渡海』なんですか」
「辞書は言葉の海を渡る舟だ」
「海を渡るにふさわしい舟を編む」と、松木先生は静かに言った。
馬締に託す・・松本先生の心の声が 馬締に聞こえた。


いつ終わるとも知れぬ大渡海の編集作業。
その間に馬締が結婚。その部屋は本で埋め尽くされている・・

辞書には使う「紙」も至極大切である。
また、漏れてしまった「語句」を徹夜で辞書に入れることも・・


そんな中、高齢であった松木先生が倒れる。彼の生きているうちに
「大渡海」を完成し 先生に見せたい・・!馬締に悲痛な願いもあった。
果たしてその辞書は完成にこぎつけるのであろうか・・

 

 



最初私が引かれたのは、「舟を編む」という表題でした。
まさかそれが「大渡海」という 分厚い辞書の名前だとは気がつきませんでした。
小学校に上がった頃から「国語辞典」なるものに接してきました。
しかし、この本に出てくる数々の「辞書」は 私などの知るようなものではなかったのです。

松木先生などは生涯をかけて辞書づくりをしたであろう人ですし、
大変な苦労のある仕事なんですね。


最後に・・この一冊の辞書を編むのに、「15年」という歳月がかかった・・と。

今の時代、何でもスマホで検索できますが、この「大渡海」では、
スマホでは分からない「物語」も辞書を引くと出てくる・・という事です。
良い本に出合えました。
「ことばの海を渡るには舟を編まなくてはならない」
最後にこの言葉が身に沁みました。