徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「朽ちないサクラ」・柚木裕子著・・

 

  朽ちないサクラ    柚木裕子  著

 

       徳間文庫 2024年02月10日 第24刷

 

森口泉の米崎県警広報広聴課は朝から苦情電話に翻弄され続けていた。
課長以下14名が、である。
泉が所属しているのは県民安全相談係である。
泉は間もなく29歳になる。この課では最年少。

朝からの苦情の内容は、「女子大生ストーカー殺人事件。
「警察署職員が、両親の被害届を放置中に北海道に慰安旅行」のトッポニュースで、だった。
二週間前路上で刃物によって殺された被害者は21歳、女子大生。
犯人は捕まったが 以前より女性にストーカーし、執拗に付け回した男。
無言電話もあり、両親が警察に被害届を提出していた。
その矢先の事件であった。

警察は「他の事件捜査で多忙を極めていた・・」と記者会見。
しかし事実は違っていたのだ。所轄署職員は慰安旅行を控えており、
被害届を受け付けなかったのだ。このストーカー事案を担当するはずの
課員ほか、交通課・総務課職員など11名が参加していた。

 

やがて泉の友人・津村千佳からメールが入った。千佳は米崎新聞社記者。
泉は千佳に「慰安旅行の件、情報を流したのはあなたね」と詰め寄った。
実は親友の千佳にだけ慰安旅行の件を話していたのだった。
それを記事にして大騒ぎを引き起こしたのは、米崎新聞であったから。
「違うわ。誓っていう、私は話していない」
しかし泉は「約束したのに」と言い、千佳は「絶対に私じゃない」と強く言った。

食事をしての帰り、千佳はひどく落ち込んでいた。泉は、千佳は人を裏切る人ではない、と思っていたが、彼女以外漏らす人物はいないようにも思えた。
「この件、裏があるような気がする・・」ポツンと言った千佳である。

 

そしてて事件が起こった。
千佳が遺体で見つかったのである。

やがて泉は警察学校の同期の磯川刑事と独自に捜査を進めていくのである・・

 

 

警察小説です。
柚月さんの本を初めて読みました。なかなか、難解の個所もありますね。
更に、人物表現ないし、その人物の一挙手一投足までも書かれた感じなので、
途中であらすじを見逃しかねない・・と、感じました。

 

泉が親友につい漏らしたことがきっかけで 疑いを持ってしまった親友の千佳に。
それが、更に新たな事件を呼ぶことになっていきます。
核心に迫るとき、「思いもよらぬ醜い闇」が潜んでいます・・

29歳の彼女の心の葛藤や悲しみなど、そしてこの事件をきっかけに やがて上を見つめる眼。
泉は未来へと歩んでいきます。