徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「ノースライト」 横山秀夫・・

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ノースライト」    横山秀夫 著

 

   株式会社新潮社  2019年2月28日 発行 
           2019年3月10日 第二刷 

 

横山ミステリー史上最も美しい謎。

一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?


青瀬稔は思いのすべてを賭けY邸を完成させた。信濃追分浅間山がまじかに見える場所である。
完成した一年後、そのY邸にだれも住んでいないのを知った。
そのY邸は、吉野陶太という人物が、青瀬に「あなた自身が住みたい家を建ててください」と言った。
幸せそうな家族の吉野のように見えた。完成し、家を明け渡す時もとても喜んでいたはずだ・・・

不審に思い、青瀬が訪ねた信濃追分のY邸。
彼のすべてを賭けて完成させたY邸は静かにそこにあった。
この家は、北からの光彩を家の中に取り入れ、大きな窓の向こうに美しい浅間の山並みが見える。
しかし、賑やかなはずの家の中は 家具も無く、いや、住んだ形跡さえも無くそこにあった。
ただ一つY邸にあったもの、それは、一脚の椅子であった。
椅子は、北向きの窓を向き、浅間山を見ているようであった・・・

全く想像もしていなかったことである。誰もいないとはどういう事なのか!?
なぜ、住んでいないのか?
多くの疑問が青瀬の頭の中をぐるぐると廻る。


やがて、一脚残されていたあの椅子が、ブルーノ・タウト」の椅子ではないか?と分かってきた・・

 

青瀬の幼いころは、とても貧乏であった。
父は各地の工事現場を転々とする仕事であり、その都度、学校も変わらざるを得なかった。
転校が激しかったために、友達もできず、小鳥だけが彼の癒しでもあった。
そんな時、父親が、九官鳥を貰ってきた。青瀬はとても嬉しかった。
しかし、逃げた九官鳥を追って山に入った父が事故死をしてしまう・・
そんな暗い過去を持つ青瀬であった。
いま彼は、建築事務所の所長、岡嶋と共に働いている。
その岡嶋は、彼の悲願である公共事業コンペへの挑戦を決意したのである・・

 

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横山ミステリーは、私にはとても難解なところがあって、
滅多に本を買って読んだことが無いのです。
しかし今年、本の表紙に興味が湧き、買い求めました。
一週間ほどで読み終えましたが、なかなか難しくて、感想も書かず、そのままに・・(笑)

このほど、NHKテレビで前後編で放映があって、びっくりして録画までしました。
  青瀬稔  西島秀俊
  岡嶋昭彦  北村一輝 (建築事務所所長)
  村上ゆかり  宮沢りえ (青瀬の別れた妻)
  吉野陶太  伊藤敦史  (Y邸を依頼した人物) 他

※ 後編・放映  12月19日 21:00 NHK

 

本は本で、空想の中でY邸を。それが現実の画の中でY邸を見る事が出来ました。
空想していたよりもはるかにすばらしく、浅間山を見る風景など、ため息が出ました。

まだ、テレビでの後編は見ていません。今夜です。
本を読んでいるために、なぜ、吉野が完成した屋敷に住むことなく、青瀬の前から消えてしまったのか? また、「ブルーノ・タウト」の椅子がなぜそこにあったのか・・?
は分かっていますが、映像はとても楽しみです。


全体にサスペンスが漂う「ノースライト」。
ノースライト」とは? 「ブルーノ・タウト」の椅子とは?
さまざまな伏線があり、とても難解な本でもありましたが、読んでおいてよかったと感じています。
テレビ画面の中では、とても美しい風景と、謎めいた椅子に目が行きます。
またもう1つ、「家族とは?」も興味があるところです。


後編が楽しみ、本編も見て、ゆっくり録画したものも見たいと思っています。

 

 

 

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