徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「散り椿」・・

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  散り椿


 原作・葉室麟散り椿

 脚本・小泉堯史

 監督・撮影・・木村大作


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享保15年。かつて藩の不正を訴え出たが認められず、まして、殺しの疑いまでかけられた、瓜生新兵衛。
国を離れ、妻と共にひっそりと暮らしていたが、その妻がある日あっけなく世を去った。
その妻が最後に残した言葉は「采女(うねめ)様を助けて・・」というもの。
新兵衛は妻・篠の願いをかなえるために、国に帰る。

妻の言った采女とは、かつて同郷の剣の達人・四天王のひとりで、新兵衛のよき友であった。
新兵衛は、篠の願いと、藩の不正を暴くために 篠の妹の家に入った。
篠の妹、里美は突然帰ってきた新兵衛の思惑に戸惑いながらも、いつしか彼に惹かれていく。


月日が流れ、春、散り椿が咲き誇るとき、彼は藩の不正のある確証を掴む。
新兵衛は その不正を暴くため、采女と対峙する・・

実は、妻となった篠は、本来、采女と夫婦になるはずであった。
そして・・過去の不正事件の真相と、妻、篠の切なくも愛にあふれた真相を知るとき、
散り椿の花が、まさにハラハラ・・・と散っていくのであった・・


とても寡黙で、朴訥な男、瓜生新兵衛。
妻、篠の最後の言葉に、「実は、采女が好きでは・・」と、小さな不安が生まれ、
しかし、幸せな時間を過ごした数年を、とても大切なものに思うのです。
藩の不正の底に隠された真実を追い求めていく姿も、また、寡黙な彼らしい。
そして、親友で、よき友であった采女と、剣を交える時、篠の顔が浮かんでいたかもしれない。

篠の、真実の「心」とは。
これが、「一本の散り椿」に託されています・・
満開の散り椿の花が、はらはら・・と落ちる時、篠の愛の深さがじんわり・・と心にしみ、
只々涙があふれました。

内容も決して急ぐでもなく、静かに進んでいきます。
美しいふるさとの風景や、人々の人情もまた、泣けてきます。
時折画面にきれいな椿の一本の木が。
その根元一面に 散った花びらが広がって、とても、美しい風景でした。

とてもいい映画です。お勧めします。



※ 五色八重散り椿・・
 一本の木に、ピンク色、白色、赤色・・等、また、絞りの入った花が咲きます。
 椿の花は、通常、花が丸ごと地面にポトリ・・と、落ちます。
 しかし、五色八重散り椿は、桜の花びらのように、はらはらと花弁が一枚ずつ落ちていきます。
 映画の中の椿も、この椿だったかも・・・・知れません。


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