徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「砂迷宮」・・内田康夫

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「砂迷宮」 内田康夫
初版 2009年3月25日   実業乃日本社
 
 
文豪泉鏡花・「草迷宮」のモデルとなった三浦半島の旧家で、浅見光彦が取材した老人は、
その直後「金沢に行く」と言い残して数日後、安宅の関で死体となって発見された。
浅見は死の真相を探るため、金沢に向かった。
しかし老人の行方は 意外な場所で途切れていた・・・
 
老人の名は須賀(すか)、77歳。
北陸鉄道浅野川線に乗り、内灘(うちなだ)方面に行ったという事を突き止める。
内灘で降りたとしたら・・その先はアメリカ軍が砂丘に鉄板を敷いて道路にしたという
「鉄板道路」に続いていた。
その鉄板道路で、須賀老人の足取りはぴたっ!っと、途切れた・・

そして、
浅見が悩んでいた最中に 大脇老人が殺される。
 
内灘の町史に書かれている「砂丘で起きた日本初の基地反対闘争」が
暗い過去を呼び寄せる。
その当時、闘争に身を置いていた二人の老人には、口に出せない暗い過去があった。
その彼らが次々殺され、浅見は吸い寄せられるように事件の渦中に身を置く事に・・・
老人の青春時代に起こった闘争は、果たしてどんな事件だったのか。
寡黙にして、そしてやさしい 家族思いの老人二人はなぜ殺されなければならなかったのか・・
浅見光彦はやりきれない思いを胸に、事件解明へと、突き進んでいく。
 
 
毎度 なぜこうまでして事件に巻き込まれていくのか・・と思うような展開。
浅見光彦の 茫洋とした風格には似合わない殺伐とした殺人劇。
その名推理で今回も犯人を追い詰めていく彼の姿がすばらしいです。
おすすめの一冊です。
 


 
浅見光彦は永遠の青年・33歳。
警察庁刑事局長の浅見陽一郎の年の離れた弟である。
父を幼い時に亡くした光彦にとって陽一郎は父とも、兄とも思う大切な人。
光彦の一番の理解者でもある。
光彦にとって恐い存在なのが母である。
「陽一郎さんに迷惑をかけてはいけません!」
「早く独立なさい」
母の一言が身にしみる彼ではあるけれど、でもこの母は実は光彦を信頼しいつも優しい眼差しで
彼を見守っている。
茫洋とした光彦ではあるが、すわ!事件!!となると、ついつい触手が動いて巻き込まれていく。
そんな光彦に事件の重要なところで手を差し伸べる兄、陽一郎である・・・
 
 
 
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