徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「沈まぬ太陽」・・山崎豊子・原作

イメージ 1

沈まぬ太陽」  原作・山崎豊子

出演:渡辺謙

国民航空がおこした重大事故、御巣鷹山に墜落した事故・・
500名を越す死者を出す大惨事。
悲惨なこの事故によって 上層部の人事も変っていく中、
一人の老人の辛い気持ちが浮き上がってきます。

遠く離れている長男夫婦に待望の子供ができ、逢いたいので来いよ・・
と、「私が航空券を送ったんです・・」と、言った。
「妻はもう亡くなっていませんし、息子も嫁も、孫も失って、
もう私には、支払っていただけるお金も、すべて要りません・・
私はもう歳をとっていますし、お金なんて要りません。
私はこれから・・・四国巡礼の旅に・・・でようと思います」

この老人を演じたのは 宇津井健さんでした。
私も涙がぽろぽろ出ました。

そして・・小学生の我が子をおじいちゃんの所へ遊びにやるために
一人飛行機に乗せたお母さん、彼女の叫び声は声にならないものでした・・

一人ひとりに会社側が支払うお金、
「金じゃないんだっ!!なくなった子の名前も知らないのか!!」
と叫ぶ遺族たち。


国民航空・・という巨大な組織の中の一人の人間に出来うる事は・・・
主人公・恩地は 「会社は辞めない」と信念を貫き通します。
御巣鷹山にジャンボが墜落し 500名を越す被害者が出た。
その遺族の悲しみや、やるせなさを 恩地は身にしみて感じる。
しかし巨大組織の上層部は、「責任を何で俺達が取らなければならないんだ」・・と嘯く・・

巨大組織に翻弄されて、苦労と葛藤の中で 恩地は「命の尊さ」を感じていきます。
たくさん並べられた棺、遺族の声は巨大組織には届かず、遺族の切なさ、悲しさが
恩地に伝わります・・

日本の国を背負う国家、国の議員達、そして国民航空の上層部たち、
それぞれがわが身かわいさに 下を見ることなく日本を動かしていきます。

やるせなさが残りました。
憤りさえ、覚えました・・
やっぱり、「上」はそうなんだよ!・・・って思いました。

長編のドラマの後ろに ピアノ曲が流れます。
ある時は切なく、ある時は悲しく、そしてある時は・・・希望のともし火として。

そうそうたるメンバーの映画です。
長いと感じさせない速さがあります。
あっという間の3時間20分です。