徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「流星の絆」  東野圭吾 (講談社)

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流星の絆  東野圭吾 2008年3月第一刷


「兄貴、あいつは(妹)本気だよ。俺達の仇の息子に惚れてるよ・・」


惨殺された両親の仇打ちを 流星に誓いあった三兄妹。
14年後・・
彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。

「物音を立てないようにゆっくりと窓を開けた。夜空を見上げる。
やっぱり雲が多くて・・今夜の星は・・見られないかもしれない・・
兄の功一と弟の泰輔が 真夜中流星を見に行くことを計画。
そっと忍び出ようとした時、なんと妹の静奈が「いっしょに行く!」と起きだしてしまった。
三兄妹は やっとの思いで我が家の2階を抜け出して、「ペルセウス座流星群」を見に行ったのだ。
だが生憎どんよりとした曇り空、空に星はなく、しかも雨まで降ってきてしまった。
兄の功一は静奈を背負い 我が家へと急ぐ。

そしてたどり着いた我が家で見たものとは・・・
父と母の無残な血まみれの姿だった・・
兄・功一6年、泰輔4年、妹静奈はまだ1年生。

その時 弟泰輔は 我が家から出てきた男の顔を目撃した。
一瞬だったけれど、泰輔の瞳に焼き付けられた。
警察が駆けつけた。
刑事の柏原と萩村が捜査に当たることになる。

何も知らせていない妹の静奈と 事件後口が利けなくなってしまった弟泰輔、
そして、必死にこらえていた兄、功一。
突然の不幸に 兄と妹達は堰を切ったように大声で泣いた・・抱き合って泣いた・・」

以前にテレビドラマ化されて評判を呼んだものの原作です。
ドラマを見ていなかったので読んでみました。
あっという間に読めます。展開が早いんです。

長男は6年生、弟と妹。三人はその後、成長して再び流星を見に行きます。
あの夜は曇っていて、しかも雨まで降ってきて、全く見られなかった流星群が
いま目の上を流れていき、彼らは誓います、「復讐」を・・・

殺された父と母は洋食屋を営んでいましたが、そこの「ハヤシライス」が絶品でした。
店の名前は「アリアケ」、そのハヤシライスが鍵になります。

父の自慢のハヤシライスと瓜二つの味の店が!
静奈はそこの店の息子に近づく。
さらに・・泰輔はその息子の父親こそが、あの惨劇の夜 
彼が目撃した人物だと確信するのだった・・・
兄妹は「復讐」するべく 策を練るのだった・・・

最後に「大どんでん返し」が・・
あっと驚く結末で、本ながら涙が出ます。

流星を見に家を抜け出したがために 幼い3つの命は助かった。
でも、兄と妹の心の闇は成長するごとに大きくなっていった。
その事にも涙が出ます。
父と母を亡くしたその日、抱き合って大声で泣いた彼らの悲鳴がずーーっと聞こえるような・・
そんな一冊の本です。おすすめです。