徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「桐に赤い花が咲く」・渡辺淳一 著

 

「桐に赤い花が咲く」

  渡辺淳一 著   新潮文庫

   平成5年5月25日 発行
    (作品は昭和56年12月 集英社より刊行された)

 

9月10日 東京にはまだまだ残暑が残った日だった。
刑事桑島は警察病院に寄った。整形外科の医師は、
「肋骨にヒビが入ったようですな」と言い、処置をしてくれた。
出署すると事件が起こっていた。凄惨な事件であった。
若い女が殺され、局所をめった切りされていた。
見るも無残な遺体を見て「男だな」と桑島は言った。


残暑の残る中、桑島らは捜査に街中に出て、女と親しかった男を探す。
やがて、被害者の身元が割れ、勤めていたゴルフ場やアパートで時折見かけた
男の似顔絵もできた。
更に、怪しい梅原医院の院長も浮かんできた。

 

しかし、依然として似顔絵の男の身元も分からず、長期戦になってしまう・・
似顔絵の男は若く細い体系、色白・・など分かってはいるが
皆目行方が知れなかった・・
その後、月日が経つうちに捜査は縮小されていく。
桑島は和泉刑事と共に操作続行となった。

 

一年数か月後、同じ手口で男の惨殺体が見つかる。
男の局部が傷つけられ、一緒にいた女が捜査対象となった。

そして、桑島が見た似顔絵にハッとする。
「似ている・・!」と。
一年前に起きた女の連れの男とである。
和泉刑事はそんな桑島に「あっちは男、こっちは女が容疑者ですよ」と言ったが、
似顔絵は似ている・・!と感がする桑島であった・・・・

 

 

 

男と女のの怪しい深み。
一人の人間の悲しいまでの悲劇。
渡辺淳一ならではの作品だと感じます。
「桐」に咲く花は 濃い紫の大きな花である。
「赤い」花は咲かない。
桐に赤い花が咲く」の表題はなぜか・・が最後に分かってきます。

この作品は昭和56年12月の刊行、もし、今現在の世の中だったなら
一人の人間の「深いやるせない悲しみ」は薄らいでいたかも・・知れません。
考えさせられる作品でした。