徒然草

つれづれにさまざま書いています。

最後の「お庚申さま」・・

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お庚申さま 行事・・

 

我が部落に昔から伝わり行っている「お庚申さま」の行事です。

組内に一体、お庚申さまの掛け軸があって、一年の最後の「庚(かのえ)申(さる)」の日に 年番のお家に回って来ます。

今年は我が家が年番に当たり、しかも、最後のお庚申さまとなりました。

 

庚申信仰・・(我が地区)

 かのえ申の日に 組内の者たちが年番のお家に集まり、農業で得たもので(野菜や米など)ごちそうを作って 夜みんなでお祝いし、庚申さまに今年の豊作を伝え、お礼をする、そしてそのごちそうを食べ夜を明かす・という言い伝え。

 本来の言い伝えとはだいぶ違っているようですが、その部落によってその都度、物語が出来たようです。

 

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    青面金剛像・・

 

ずっと昔から、我が組は9軒あって、それで回していたのですが、一軒二軒・・と止めていき、5軒になり、さらに、みんなで集まってご飯を作ったり夜は座敷で皆さんでお祝いしたりしたことも、若い方々が反対して、取りやめになり、いまでは、金剛像のお庚申さま掛け軸のみが廻って来て、各家庭のみでお祝いしていました。

 

それも、皆さん歳を取って来て、「止めよう」という事になり、今年でこの行事も止めざるを得なくなりました。私としては、残念です。

やはり、若いお嫁さん方は、「得体のしれない神さまなるものが、一年間家にいることがいや!」とか・・「ごちそうを作るのもいや!」・・とか。

 

時代はかなり変わって来ていますね。

 

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  ※ 差し上げたご飯・・

 

齢の若い私に(笑)「なんとか、お庚申さまを帰してくれ」と言われまして・・

そう言われましても、この掛け軸がどこのお寺から頂いたものか?お返しできるものなのか?・・とずいぶん悩みました。

他組では、栃木県の山奥までお返しに行ったようです。

それは、なかなか私ではできません。

 

で、長男にそう言いましたら、桜関係で顔が広い長男は、とてもいい情報をくれました。それは、「市役所の文化財を扱っているところで、お庚申さまを預かってくれる」・・と言う話。

預かって市の文化財として保存・・という事らしいです。

ほんとうによかったです。

 

お寺にお返しすると、結局は拝んでお焚き上げしてしまうようです。

それは、文化財的な価値があるものだと、すごく勿体ない話だ・・と。

よく分かります。(#^.^#)

今月中に、役場の係りの方にお会いして、保存をお願いする考えです。

ほんとうによかった! お庚申さまもさぞ、ほっとされていらっしゃることでしょう。

 

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昔は、まあ、このようなごちそうを作って、みんなで食べました。9軒ですからお子たちのも入れて、大体30人前くらいを午後から女衆が集まって作りました。

で、もう最後なので、私も昔を想いだしながら、「農のもの」中心にあの頃のおかずを再現・・・(笑)

これに、混ぜご飯と、具たっぷりのけんちん汁です。

 

農の庚申さまという事で、本来 生ものなどはお供えしません。ですから煮魚です。みんなでやっていた当時、サンマが安かったので、大抵さんまの煮つけでした。でも、サンマが高騰。サバにしました。(笑)

 

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今年は、長男一家が来てくれたので、庚申さまも嬉しかったことでしょう。

長男は、「護っていかねばならないものを・・」と、残念そうですが、致し方ありませんね。

我が家でこの掛け軸をずっと預かってもいいと思ったのですが・・ほかの方たちが「それはダメ」と言うので、(ちょっと腑に落ちないけど・・)仕方ありません。

 

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   覚え書き・・

 

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今年あったことなどを書いて、先に回していました。

こうしてみますと、いろんなことが今年もありましたが、なんと言っても「新型コロナ」ですね・・

 

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平成16年の、これは主人が書いたものです。

新札が発行された・・と書いてあって、懐かしいですね。

 

数年前に、女性の神様「子安講」の掛け軸も近くの神社にお返ししました。今回は部落からすべて「お庚申さま」も、いなくなるわけです。

こうして、昔からの伝統がまた、失われていくのですね・・

仕方ないこととはいえ、なんか虚しいような気もしますが、後を取っていく若い人たちには無用なもの・・なのでしょう。なにしろ、AIの時代を迎えている訳ですから。

 

我が家で、「お庚申さま」を最後とし、文化財として保存されることになってほっとしています、よかったと思います。

お庚申さま、今まで、組のためにありがとうございました。

 

 

 

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