徒然草

つれづれにさまざま書いています。

「クスノキの番人」・東野圭吾・・

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クスノキの番人」

   東野圭吾  2020年3月25日 初版第一刷

 

その木に祈れば 願いが叶う・・

 

玲斗は、起訴された。罪状、住居侵入 器物破損 窃盗未遂である。二か月前不当な理由で解雇された会社に忍び込んだ。

 

彼は孤独であった。母も父もいない。もっとも、母は妻のいる男の、子を産んで苦労してこの世を去った。父など元々いなかった。
玲斗はそんな母など思いだすこともなく、全く天涯孤独だと感じていた。起訴され、覚悟を決めていた彼の前に 有能そうな弁護士が突然現れた。
彼の叔母の富美に頼まれた事にしてある・・と意味深なことを言った。
弁護士に「釈放された後、依頼人に会い、依頼人の命じた事をやる事それを承諾すれば、釈放される」、と言った。皆目分からなかった玲斗だったが、すぐに釈放され、その依頼人に会う事になった。


弁護士が会わせた女性、柳沢千舟。亡き母の腹違いの姉であった。
そして、彼女の条件というのが分かってきた。

 

ある神社の御神木である一本のクスノキの番人を務めること。
そのクスノキは「その木に祈れば、願いが叶う」という巨大な古木である。
クスノキが効力を発揮するのは、新月・満月の夜とその周辺の数日のみである。

 

やがて、なぜ千舟が玲斗に「クスノキの番人」を任せることにしたのか・・が、少しずつ分かってくる・・それは、にわかには信じることのできない神秘的な事であった。

 

 

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一見ファンタジックな要素を持った、今回の本であると思います。
人間の「心の奥にある気持ち」や、残したい「想い」、人と人との繋がりなど・・を感じさせてくれます。
昼間のクスノキは巨大ではあっても、不思議なことは全く見られないのに、新月満月に訪れる人には「心の拠り所」となっていくものか?
玲斗と千舟、そして彼らを取り巻く人々。
果たして玲斗はクスノキの番人としてやっていけるのだろうか・・


やさしい文体で一気に読み進める感動を呼ぶ本です。お勧めします。

 

 

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